歯のコラム
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歯が変われば、印象が変わるかも? 審美歯科とは
2025.07.18
■ 経済成長と「見た目の意識」の関係
長年、発展途上国で仕事をしている知人がいます。
彼の話で興味深かったのは、「経済が発展すると、人々はまず見た目を気にし始める」という観察です。
最初は髪も肌も爪も、あまり気にされていなかった国で、経済成長が進むにつれ、
美容室、ネイルサロン、エステ、脱毛、そして審美歯科などが次々に街に増えていったそうです。
これは「美意識が贅沢」なのではなく、生活に余裕が生まれたからこそ“自分を大切にする”ことに意識が向くようになる、という自然な流れなのかもしれません。
それはまさに、私たち日本でも起きた変化です。
■ 昔のテレビと今のテレビ──芸能人の「歯」は変わった
歯科医師という仕事柄、テレビを見ているとどうしても芸能人の「歯」が気になります。
あるとき、昔の日本のテレビ映像を紹介する番組を見て、ふと気づきました。
「あの有名な俳優さん、昔は歯が黄色くて、歯並びもかなりガタガタだったんだな」
「この司会者、前は銀歯が見えてたけど、今はセラミックに変わってる」
今では、テレビに出ている人たちの多くが、白くて整った歯並びをしていて、歯ぐきまで健康的に見える。
それだけで印象が全然違うのです。
あらためて、「歯は顔の一部以上に、人の印象を左右する」ということを実感しました。
ちなみに、歯が綺麗なのに歯周病になっている芸能人も多いと感じます。あんなにかっこいいのに歯肉の色が悪いなとか、主演女優なのにキスシーンはどうするんだろう?なんて下世話なことを思ったりもします。歯肉まできれいだと、髪もメイクもきれいで、おしゃれな衣装を着て、歯も歯肉もきれいで本当にすごいと感動してしまいます。
■ 審美歯科の需要が高まったのはなぜか
昔より「歯の見た目」が重視されるようになってきたように思います。個人的には2つの理由があると考えています。
1.社会の「美意識」が高まったから
SNS、リモート会議、動画コンテンツ、写真アプリ…
現代は「自分の顔を見る時間」が増えました。
また、美容室やスキンケアのように、歯も「人から見られるパーツ」として捉えられるようになっています。
以前は「歯は機能すればいい」と思われていたものが、今は「歯も含めての“見た目”を整える」という意識に変わってきたのではないでしょうか。老若男女スマートフォンを使い写真を撮影してお互いに見せあっています。国民総芸能人と言っては過言ですが気軽に撮影ができて、デジタルで保存できるということは自分が外からどのように見られているかを自覚しやすいかもしれません。
2.歯科医療の技術が進歩したから
昔は、「セラミック=芸能人のための高額治療」というイメージもあったかもしれません。
しかし今では、審美歯科治療も幅広く普及し、自然な色・形のセラミックが、一般の方でも選べる治療法となりました。
特にマイクロスコープやデジタルスキャナーなどの技術が導入されたことで、より精密で長持ちし、自然な見た目を再現できる治療が可能になっています。
■ セラミック治療の審美的な特徴は?
セラミック治療の魅力というとやはり見た目がとてもきれいというイメージがあるかもしれません。
主に審美面での特徴をあげてみます。
◉ 自然な白さと透明感
セラミックは光を自然に透過し、天然の歯のようなグラデーションを再現できます。
1本だけ治療しても、まわりの歯となじみ、治療したかどうかがほとんどわかりません。
◉ 変色しにくく、美しさが長持ち
プラスチックやレジンは、年月とともに黄ばんだり劣化しますが、セラミックは変色せず、ツヤを保ちます。
「前歯の黄ばみが気になる」「差し歯が古くて浮いて見える」などのお悩みにも最適です。特に近年保険診療で導入されているCADCAM冠やCADCAMインレーといった素材は変色しますので審美的な治療には適しません。そして変色した場合は保険診療では原則再治療ができません。なぜかというと虫歯という病気に対して銀歯やCADCAM冠の治療をするわけですので、変色といった病気でないことについて保険診療で治療をするというのは保険診療の目的から外れてしまうためです。
◉ 笑ったときの印象が圧倒的に変わる
前歯だけでなく、奥歯の銀歯も意外と見られています。上顎の奥歯はあまり見えませんが、下の奥歯は会話をしたり笑ったりしたときに見える部位です。そこをセラミックにすることで、笑顔がより清潔感のある印象になります。
◉ 歯ぐきとの調和が美しい
金属の被せ物は、歯ぐきとの境界が黒ずんでくることがあります。メタルタトゥーという症状です。
セラミックなら、歯ぐきも健康的に見え、全体の口元の美しさにつながります。
■ 「見た目」だけではない、機能面でのメリットも
セラミックは審美的な素材であると同時に、機能面にも多くの利点があります。
◉ 精密なフィットで虫歯の再発を防ぐ
高精度の型取りによって作られるセラミックは、歯とぴったり合うため隙間ができにくく、細菌が侵入しづらくなります。これにより虫歯の再発(2次カリエス)を抑えることができます。
■抜歯をできるだけ避ける為に行う自費治療とは
保険診療は長年行われてきているので様々なデータがあります。歯の一番外側の層であるエナメル質の虫歯を治療した場合、平均5.2年で再治療になります。この時、虫歯はエナメル質の下のやややわらかい象牙質まで進行してしまいますので、大きく削ることになります。そして銀歯のつめものを入れる治療になります。銀歯は金属ですので熱を良く伝えます。しみることもあります。この銀歯のつめものの治療を行ってから平均5.4年で再治療になります。銀歯の周りが虫歯になっていたり、銀歯が外れて中が虫歯になっていたり、痛みがでてしまったりと症状は様々ですが、象牙質の更に深い部分は歯の神経があるため、痛みが出ていると神経を抜かなくては痛みを取ることができません。また神経近くまで虫歯が進行している場合には虫歯を削ることで痛みが出ることがあります。これは即時痛みが出るケースとしばらく経ってから痛みが出るケースがあります。歯科医師にも色々な治療方針がありますが、治療後に痛みが出ることが考えられる場合は予め神経を抜くことがあります。神経を抜いた歯については銀歯のかぶせものを入れる治療になります。この銀歯のかぶせものの治療を行った歯は平均7.1年で抜歯になるというデータがあります。(歯科修復物の使用年数に関する疫学的調査 口腔衛生学会雑誌46より)最初に治療を行ってから約18年で抜歯になるということについてどう考えるかがセラミック治療を行うかどうかの検討材料になるのではないでしょうか。
■歯で印象はどれだけ変わるのか?
たとえば、銀歯を白い歯に変えただけで「清潔感」が生まれます。
前歯の並びが揃うだけで、「若々しさ」「知性」「信頼感」が増します。
人の印象は、言葉よりも先に“視覚”で決まるとも言われます。
それほど、歯は顔の中でも大きなウェイトを占めるパーツなのです。
■ 「歯を整える」ということ
美容室で髪を整える。
ネイルサロンで指先をきれいにする。
スキンケアで肌を整える。
それと同じように、「歯を整えること」も“自分を大切にする行為”だと思います。
かつての日本では、歯にお金をかけることが特別なことだったかもしれません。
祖父母の時代は大きい金歯を入れることがステータスだった価値観がありました。見えるところにゴールドの治療をするというのは現代ではあまり受け入れられないと思いますが、ピカピカの金歯を見せながら楽しそうに笑っていた祖母の顔がいまでも思い出されます。
今は自然で美しい歯を選べる時代です。もし、鏡を見るたびに気になる銀歯や黄ばみがあるなら——
セラミック治療で自分の歯を白くきれいにするタイミングかもしれません。
治療の際には事前の検査を行い、どのような仕上がりにしたいのかを伺ったうえで治療費や治療期間についてご納得いただけてから行います。
気になることがありましたらお気軽にお電話やLINEでご連絡ください。