歯のコラム
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歯科治療の失敗を避けるために 安易な治療を受けなければよかったと思う時は?
2026.03.20
突然やってくるかもしれない歯のトラブル
健康診断や人間ドックで病院に行けば、「適度な運動をしてくださいね」「塩分の摂り過ぎに気を付けてくださいね」「油ものを控えてくださいね」など色々なアドバイスを受けることがあるかもしれません。歯医者に行けば「定期検診を受けてくださいね」「歯間ブラシも使いましょう」「この歯は今は症状がないかもしれませんが、大分悪くなっているので早めに治療を受けてくださいね」と言われるかもしれません。テレビやネットを見ても、「海草を毎日食べましょう」「30種類の食材を食べましょう」「亜鉛サプリを飲みましょう」など色々な情報が目に飛び込んでくるかもしれません。
健康にまつわるお話は沢山あり、世の中にある話を全部実行することは到底できるものではないのですが、できるだけでもやれたらいいですね。
これは子供の頃に「将来困るから勉強しなさい」と親や学校の先生に叱られたことに似ているような気もします。大切だとわかってはいるがなかなか実行できない。「テストの結果が良かったら遊園地に連れていってあげる」「勉強が終わったらゲームやってもいい」と言われた方がまだ頑張れたりすることもあるのが子供のころの自分でした。
歯科治療について、良く言われていること以外で、ちゃんと治療を受けた方がいいと思える話題は何かないか思ったのですが、実際の診療の中で感じることや、学会や研究会の仲間との会話の中で出てきた話を元に少し考えてみました。
歯科治療は自分への投資だという考え
中央区京橋に当院はあるのですが、中央区というのは沢山の法人がある日本有数のビジネス街です。オフィスで働いている忙しそうにされている患者さんも多いです。お仕事では重要な決断をしたり、大きな金額の商談をしたり、歯科という小さい世界で生きている私にはわからないことをされているんだろうなと想像しています。ということは、患者さんの時間はとても重要だと思います。
「忙しいから来れない」「仕事が入って次回の予約を変更して欲しい」「来月海外出張だからそれまでに終わらせて欲しい」というお話は非常に多いです。
こういった方には自分の身体を会社と見立てて、治療を投資と考えてもらうのもいいかもしれません。
商談直前にトラブルが起きたら?
突然歯が無くなってしまったらどうする?
コロナ中からオンラインでの仕事が多くなったとはいえ、やはり対面での仕事も多く、重要なものは特に対面で行われていると聞きます。「今日は大事な商談がある」という日は髪型や化粧、スーツならネクタイも、服も靴もしっかりと選んで資料もしっかり作りこんで相手先に向かうことと思います。
数年前に酔って転んで打ち付けてしまった前歯は仕事が忙しかったこともあり、一旦保険の前歯にしておいていずれ時間が取れたらしっかりとやり直すつもりだった前歯が、突然抜けてしまったらどうでしょう。とりあえず差し込み直して商談に向かいますが、やはり取れてしまいます。前歯は顔の印象のとても重要な部分です。前歯が無いことを笑い話にできればいいですが、それでも「事前に治療をしておかなった人」という印象を持たれる危険性はあります。
前歯を保険で治療するか自費で治療するかというのは多くの人が悩むポイントだと思います。機能性が保たれていると同時に審美性も必要なためです。保険診療の前歯の治療(かぶせもの)は銀歯の表面に白い樹脂が張り付けられているのですが、自分の歯のような透明感を出すことができません。これは素材の特徴です。また白い樹脂部分は経年による着色が避けられないため色の違いも目立ってきます。そして長期的に考えるとリスクの高い治療法です。また再治療の際に前歯が無い状態になってしまうこともあります。
こんな時「あの時、ちゃんと前歯の治療をしておけばよかった」と思うかもしれません。
会食やプレゼンで視線を感じたら?
口を開けた時に見えにくい場所と見えやすい場所
重要な仕事相手、もしくはプライベートで仲良くなりたい相手と会話をする時には相手の目ばかり見ると威圧的な感じを与えてしまうのでそれより下、鼻や口元を見ることがあります。保険診療は基本的に銀歯です。また数年前からCADCAM冠、PEEK冠という素材も使われるようになりました。これらの素材は審美性で劣るため、自然な仕上がりになるセラミックに比べると目立ちます。「なんだか口元を見られるな」「銀歯が目立っているのかな」場合によっては「抜歯してそのままになっているところを見ているのかな」と思うと気になって本当に言いたかったことが言えなくなってしまったり、自信を持ったプレゼンが出来なくなってしまうかもしれません。
個人的に思うのは、芸人さんで最初テレビやネットに出てきた時は歯の状態が悪いと感じる人がいることです。それが売れっ子になってくると、歯の色が白くなったり、見えるところの銀歯が白くなったり、矯正したり、歯が無かったところにインプラント治療をしたりと状態が良くなっていくのを良く見ます。他人から見られる仕事というのは髪型や服装ももちろんですが歯にも気を付けていくことが大切なのだなと思うのですが、もう少し気を付けるとしたら、白い歯の周辺の歯肉の色です。歯周病で赤黒くなっていたり、腫れていると、歯がきれいな分余計に目立つかもしれません。
急な再治療が必要になったら?
自覚症状の有無と治療の有無は違うことも
忙しいから歯科治療を受けないということはある意味合理的な判断と言えるかもしれません。月給÷出勤日数÷出勤時間=時給 ですから仕事を抜けて歯科治療を受けるよりも働いた方が利益になると考えることもビジネスパーソンであれば不思議ではありません。人それぞれ大切なことは違います。私達歯科医療従事者からすると歯科治療はとても重要なことだと思いますが、すぐに命に係わる分野ではないため、患者さんの生活の中で丁度良いタイミングで治療を進めることが良いと思っています。
痛みというのは神経を伝って脳に伝わる刺激です。歯の表面の虫歯では痛みが発生しません。歯周病は原因細菌が神経を切断するため痛みが発生しにくい病気です。痛みが出るというのはそれなりに時間が経ったことで起こると考えても良いでしょう。ですので平時に治療を進めておくのが良いのですが、治療を受ける価値がその他の用事に使い時間の価値に比べて高いと感じてもらえなければ患者さんが歯科医院を訪れることはありません。
年末年始、連休シーズンに旅行に行く予定を立てて、その前に治療を終わらせようと考える方は少なくありません。旅行中に歯が痛くなったら?、つめものやかぶせものが取れて美味しい食事が取れなくなってしまったら?、思い出の写真を撮るときに歯が無い自分が写ってしまったら?、という心配から治療をされるのでしょう。この時、旅行中安心して過ごせるという安心に対して価値が生まれるため歯科医院での治療を受けることを決断されるのだと思います。
企業は様々な保険に入っていることが多いです。わかりやすいのは火災保険でしょうか。実際に火事を起こす確率は非常に低いですが加入している(しなければテナントを借りることができない)わけです。問題が起きる前に治療を受ける、検診を受けることと同じ意味があると考えても良いのではないでしょうか。
人生のイベントで撮影する写真に綺麗な自分で写りたいと思ったら?
審美治療は1日にしてならず
人生には色々なイベントがあります。想像しやすいものと言えば【結婚式】【成人式】【卒業式】でしょうか。結婚式や成人式は前撮りをする方も多いでしょう。髪型を整えて、衣装も事前に準備して、メイクもしっかりとして、まつげやネイルもしっかりとして、晴れ舞台に臨むわけです。自分一人の写真、友人や家族、参列者、同級生と一緒の写真など一生残したいと考える場合、歯はどのような状態が良いでしょうか。出来ればホワイトニングやクリーニングをしてきれいな状態にしたいでしょう。笑顔に銀歯が光っていない方が良いかもしれません。後であの時きれいにしておけばと思ってもやり直しができないからです。
そして審美治療はすぐに終わらないことが多いです。痛みを取る治療ではなく、見た目に納得できるようにする治療だからです。イベントまで逆算して治療をスタートしなければなりません。間に合わないようにするためにもできるだけ早く歯科医院で相談されると良いでしょう。
同世代と健康の話題になったら?
健康=資産
口のトラブルはすぐに命に直結することはほぼありません。しかし長期的に見ると寿命に影響があると言われています。全身疾患に関わりがあるという研究結果が出ています。古い時代の王や皇帝は富や権力を持っていましたが、寿命という問題についてはどうすることも出来ませんでした。死は公平に訪れます。その為、健康長寿、永遠の命を求める王や皇帝は沢山いました。
中年以降から同年代と会うと健康に関する話題が出てくることが増えてきます。白い歯がきれいに並んでいるというのはとても若々しく見えますし、食べものを噛んだり飲み込んだりする能力も保たれています。一方で歯が失われている、入れ歯になっている、というケースでは元々の機能から低下してしまっています。
「人間ドック受けてる?」「脳ドック受けたよ」「インプラントにしたよ」といった会話もあると思います。そんな時、自分だけが周りの人に比べて口腔機能が低下していたら、「ちゃんと歯の治療した方がいいよ」と言われるかもしれません。
若い頃はあまり差の無かった健康状態や口の健康状態が、気が付かないうちに同年代に比べて弱くなっていることは、気になる方にとってはとても気になるのではと思います。
口臭を指摘されてしまったら?
歯周病からくる口臭
歯科医院で日々治療をしていると歯周病の患者さんが非常に多いことを感じます。歯周病は様々な症状があります。歯肉の腫れ、出血、変色、歯石、痛み、歯の揺れ、口臭、などです。重度歯周病は抜歯になってしまいますし、日本人の抜歯の原因の1位は歯周病ですから、よくあることだと考えても良いでしょう。日々多くの患者さんを治療していますが、その中には歯周病から来る口臭がある方もいます。私達にとってなじみのある臭いですので、プライベートで出かけた時、エレベーターに乗り込んできた見知らぬ方が吐き出した息が臭い、「この人歯周病だな」と思うことも良くあります。
口臭というのは非常にデリケートな問題です。直接「口臭いよ」と言える関係性というのはなかなかありません。夫婦であっても言いにくいことかもしれません。(言ってあげた方が良いと思いますが、、、)ということは、周囲の人は口臭があると気づいていながら気を使って何も言わずに過ごしているということになるのですが、口臭があるということがプラスに働くという状況はあまり考えられませんので、多かれ少なかれそういった印象を周囲に与えているということになります。口臭があると周囲から思われているということは治療を受ける大きい動機になると思いますが、教えてくれる存在がいないと気づきにくいというのがまた厄介な問題だと思います。
歯周病である、そして口臭がある、これを放置し続けると抜歯になる、ということなのですが、「歯周病なので継続治療しましょう」というのが良いのか「歯周病から来る口臭があるので継続治療しましょう」というのが良いのか悩ましいところです。
社内の人、社外の人、に対してできるだけ好印象を持たれたい、持たれた方が仕事上メリットがある、と考える方は多いと思います。おしゃれは自分の為にする目的の方が多いと思いますが、他人の為にする方もいると思います。髪も眉もまつげも爪も服も靴もアクセサリーもしっかりと整えた思い描く理想の自分は口臭がありますか?恐らく無いと思います。
安心な日常の為に事前に治療をうけること
治療や検診を受けた方が良いということを普段とは違った観点からお伝えしてみました。急なトラブルを避ける為には事前の検査、治療、定期的な検診がとても有効です。自分で気づきにくい口の症状を調べるにも歯科医院での診察が有効です。全身の健康は口の健康から、気を付けて損をすることはありません。
自分の健康を守ること、周囲から良い印象を持ってもらうこと、これは自己投資の一つだと思います。結果的に自身の健康に対する自信に繋がるため、何かあった時に診察を受けるのではなく日々の生活の中に歯科医院での検診を入れることをおすすめいたします。
当院では10年先まで歯を守れるような治療を行うことを治療方針にしておりますので、治療について気になることがあればお気軽にご相談ください。
東京駅、京橋駅、宝町駅、から徒歩圏内です。医院までの道のりがわからなければお電話やLINEでご案内もできます。
よくあるご質問(Q&A)
Q1:銀歯でも機能的には問題ないのでは?
A1:銀歯は費用面で非常に優れた治療法です。一方で長期的な予後を見た時にリスクの高い治療です。この点についてよく考えた上で治療法を決めると良いかと思います。機能的に問題があるかないかで言えば、あると思います。
Q2:自費治療は結局、費用が高いだけではありませんか?
A2:保険診療に比べて治療費が高いかどうかで言えばどこの歯科医院で自費治療をするにしても、ほぼ100%高いと思います。費用面が治療法を決める最大の要因であるとするなら歯科医師が患者さんを説得することはできないと思います。日本人の75歳の平均残存歯数が15本ですので、13本は抜歯になっています。この点についても許容できるかどうかというのは考慮すべきところです。入れ歯でも構わない、噛む力が弱くなっても構わない、毎日入れ歯の手入れをすることも構わない、といった点も総合して考えると良いと思います。
Q3:見た目を気にするのは過剰では?
A3:海外で仕事をしている知り合いに聞いたことがあるお話です。経済発展する前の状態では見た目に気を使わない人が多いのですが、経済が上向きになってくると「美容室」「エステ」「ネイルサロン」などが増えてくるそうです。その後美容整形や審美歯科、矯正などが増えてくるようです。途中の段階で海外ブランドが入ってきて、服装も変わってくるようです。
日本は上記の施設や治療が既に一般化していると思います。おっしゃるように見た目を気にするかどうかというのは個人差があることですので、それぞれの感覚に基づいて治療を選ぶのが良いかと思います。
Q4:どのタイミングでやり替えるべきですか?
A4:治療が必要だということがわかっているならすぐに治療をする方が良いでしょう。身体の治療も同様だと思います。早期発見早期治療です。
ただ、治療する箇所が複数ある場合は優先順位がありますので治療計画を立てたうえで順番に行うのが良いでしょう。仕事やプライベートの用事があることも多いでしょうから無理なく計画を立てて進めていきましょう。
Q5:全ての歯を自費にする必要がありますか?
A5:全ての歯を自費にすることは歯の健康を考えた時に非常に有効です。ただ、直ちに全ての歯を自費にする必要はありません。自費治療は治療費が高額になることもあるためです。状態が悪くなる前に良い治療を行うことで口の健康を守ることができます。状態が悪化してから、症状が出てから、の治療は治療回数が多く成ったり、治療期間が長くなったり、治療費がかかったりする傾向にあります。これは保険診療も自費診療も同様です。
Q6:失敗しない医院の選び方は
A6:失敗ということをどう捉えるかですが、抜歯を避けるという面で考えてみましょう。抜歯は患者さんにとって心理的ハードルの高い治療です。患者さんと歯科医院の合意がなければ行えません。患者さんの同意を得るためには事前の説明が必須だと思います。また、抜歯を避けるというのは抜歯になるような状態になる前に治療をするということであって、抜歯しなくてはならない歯を抜かずにそのままにすることではありません。歯科に限らず病院や薬局も収入は患者さんから得られる診療報酬です。ある意味ではお店とお客さんの関係とも言えます。しかし大きく違う所があります。医療だということです。サービス業であれば患者さんの要望を聞くことが良いとされるのですが、医療においては患者さんの要望ではないことも必要だと伝えなければなりません。例えば高血圧症で食事制限が必要な患者さんが食事制限をせずに薬の処方だけを求めてきた場合、食事制限について再度伝えなくてはなりません。命に関わってくるからです。しかしこういった場合においても医師に対するクレームになることがあります。治療に関しては医師や歯科医師が専門家です。専門家の意見を全て跳ねのけるのではなく、受け入れた上でどのような治療を受けるのか相談して進めるという患者さん側の姿勢も大切です。
歯科においてはトラブルを避ける為に患者さんの要望を聞いて根本的な治療をしないケースがありますが、問題の先送りに過ぎずいずれ大きな問題になってしまいます。
まとめ
審美治療についての失敗もネットで良く見受けられます。審美治療については高額であるということや、歯を削ったり矯正を行ったりと大掛かりな治療になることも多いです。こういった場合においては治療の計画についてしっかりと説明を受けた上で治療費の見積もりも作製してもらうのが良いでしょう。
また、不安であればいくつかの歯科医院で相談を受けることをおすすめします。治療回数が多く、治療期間が長く、治療費が高い歯科医院、、治療回数が少なく、治療期間が短く、治療費が安い歯科医院と様々です。安易に楽な治療を受けることがいずれ大きな問題になってしまうこともあります。歯科医院それぞれ治療計画が違うことも多いですが、どのように違うのか、将来的にどうなるのかをしっかりと確認されると安心です。

